中部支部の活動

中部支部は1968年6月に発足しました。以来35年にわたり、中部圏のロシア語関係者を中心に活動を行っています。

発足の経緯、中部支部の特色について、発足当時の支部長故胡麻本蔦一氏の文章から一部を抜粋します。

 「中部支部が関西,北海道,仙台,関東支部に次いで第5番目の支部として発足したのは昭和43年6月であるが,直接のきっかけは、前年秋仙台の全国総会における満場一致の賛同と激励であった。実は以前にも米川会長時代から再三にわたる要請があったにも拘らず、機運が熟さないというか,のぴのぴになっていたところ、総会の正式要望を契掛にこれに応えなければなるまいということに決心したものであるが、実際の準備万端については微力、不精者の小生の到底及ぶところではないので、専ら地元の全員、なかんずく稲垣、植村、佐々木,前川の諸兄や当時金沢大にお勤めの三浦氏の文字通り献身的な奔走ならぴに地元ナウカ社の協力によるもので,50名に及ぶ入会者を結集することに成功、ようやく支部結成の運びに手首ぎつけた次第である。(中略)
当支部の特色は,(本部の了解も得て)プロ・アマの別を問わず広くロシア語、文学その他の分野に関心をもつ有志を対象としている点であって,春秋の2回定期的に会員諸氏によるバラエティに富んだ,質的にも高水準の研究発表が行なわれており,また毎回東京,関西から交互に著名な講師をお招きして専門的講演を拝聴している。なお忘れ得ない思い出としては,昭和45年10月23〜24日,中京大学に中村百葉会長はじめ全国各地から有数十名の会員をお迎えして第20回本部定例総合並びに研究発表会を盛大裡に開催し,多大の成果をあげたことである。(中略) しかし、当初予定した事業計画で,まだ実現されていないもの,乃至は軌道に乗ってないもの,例えばロシア語講習会,ロシア語演説会,検定試験実施等々があるが,これらは、、、、今後逐次実現していかれんことを望む次第である」

(1975年1月5日)1975年2月発行 中部支部会報第9号所収『中部支部の発足を顧みて
前支部長 胡麻本 蔦一』から

 

中部支部のエリアは、愛知、岐阜、三重、北陸の福井、石川、富山であり、一時期は信州の長野も入っていました。支部長歴任者は、胡麻本蔦一(愛知大学教授 故人)、三浦元俊(名古屋大学教授 故人)、佐々木秀雄(愛知大学教授 故人)、中田甫(愛知大学教授 故人)、稲垣兼一(中京大学教授 故人)、中條直樹(名古屋大学教授)で、現在は安村仁志(中京大学教授)がつとめています。事務局は、愛知県の名古屋大学、中京大学、愛知大学などに置かれてきました。


中部の会員
全国会員主な研究分野で分けると(カッコ内は公的学会名簿に掲載の専攻分野)

・文学関係
郡伸哉(ロシア文学) 加藤純子(ドストエフスキ−) 杉本一直(ナボコフなど現代ロシア文学)     武田昭文(ロシア近現代文学) 丹辺文彦(カラムジ−ン) 矢沢英一(チェーホフなどロシア文学・演劇)

・ロシア語・言語関係
郡敏子(ロシア語教授法) 桜井映子(リトアニア語) 佐藤規祥(スラヴ語アクセント論) 清水伸子(ロシア語学) 清水守男(ロシア語学)  中條直樹(ロシア語史) 初瀬和彦(ロシア語教授法) 前川漸(ロシア語教授法) 松井良治(ロシア語教授法) 水野晶子(ロシア語学) 柳沢民雄(バルト・スラヴ語学)
 
・歴史・宗教関係その他
近藤俊介(ウクライナの民族主義) 田辺三千広(ロシア中世史) 宮崎千穂(日露関係史) 安村仁志(ロシア教会史)  山本有希(ロシアにおける日本研究)

・支部のみの会員 15名
        
前掲胡麻本元支部長の文章にもありますように、中部圏はロシア語・ロシア文学を専攻する学部、学科のないところから生まれましたので、直接研究・教育にかかわっている者だけでなく、一般にもロシア、ロシア語等に関心のあるかたがたを支部会員として迎え、中部圏のロシア学普及のためその役割の一端を担うという活動を行っています。従って、誰でも気軽に会員となり、研究発表会や講演会に参加していただければいいことになっています。近年は名古屋大学や中京大学の大学院でロシア語、ロシア学を専攻する人たちでてきていますので、研究発表の幅にも広がりが見えてきています。

支部の活動としては、春の総会と、春秋の研究発表会を地道に続けてきました。随時、関東、関西から講師をお招きして講演会を実施してきました(最近では、支部30周年の折り当時の佐藤純一会長に、トルストイ没後90年の折りに藤沼貴氏にご講演いただきました)。また、支部会報をずっと継続して発行してきました(年一回)。現在36号となっています。研究発表、講演等の掲載、学会の動向が中心となっています。

2002年度、2003年度の活動
 

2002年度
総会・研究発表会 2002年6月1日(土) 名古屋大学

総会では2001年度活動報告・会計報告・2002年度活動計画・新入会員の承認、全国役員定数改正案についての議論が行われました。
研究発表
1.水野晶子氏 「現代ロシア語の受動構文について――構文論的機能の観点からの考察(1)」
2.宮崎千穂氏 「条約改正までの“ロシア村”稲佐における居留地外雑居問題」
秋季研究発表会 2002年11月30日(土)中京大学
1.近藤俊介氏 「ロシア語におけるローカライゼーションの問題――技術用語翻訳の観点から」
2.ミハイロワ・スヴェトラーナ氏 「2000年のロシア文学:タチアナ・トルスタヤクィシ"」
 

2003年度
総会・研究発表会 2003年5月31日(土)愛知淑徳大学

総会では、2002年度活動報告(会報36号発行)・会計報告・2003年度活動計画の承認、支部選出全国役員改選が行われました。
理事(2名) 安村仁志氏(中京大学),中條直樹氏(名古屋大学)
学会優秀報告選考委員 郡伸哉氏(中京大学)
学会誌編集委員  杉本一直氏(愛知淑徳大学)
中部支部支部長改選 支部長:安村仁志氏(中京大学)
中部支部事務局長改選 事務局長:清水伸子(愛知大学)
研究発表
1.杉本一直氏 「1939年,パリのロシア人〜ナボコフの短編小説『ヴァシーリイ・シシコフ』をめぐって」

秋季研究発表会  2003年11月日(土) 中京大学

研究発表
1.ミハイロワ・スベトラ−ナ氏 「ヤルタのチェ−ホフ」
2.水野晶子氏 「ロシア語における身体部位を補語にとる動詞の三つのパタ−ンについて」
 

(文責 安村仁志)