日本ロシア文学会国際交流委員会・東京大学文学部スラヴ文学研究室共催

<ロシア語週間2005>特別講演・朗読会



オリガ・コロトコワ氏
Ольга Николаевна Короткова
(モスクワ国立大学文学部外国人向けロシア語講座助教授)
特別講演 日本人を対象としたロシア語教授の特徴
"Особенности преподавания русского языка в японской аудитории"

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オレグ・パラモノフ氏
Олег Геннадьевич Парамонов
(ロシア語ロシア文学教師、全ロシア最優秀教師コンルール優勝者)
自作詩の朗読



講義・質疑応答はロシア語、通訳なし。

日時 2005年10月28日(金)午後3時〜4時40分
場所 東京大学文学部3号館7階スラヴ文学演習室



 この10月末に、ロシア連邦外務省付属国際文化科学協力センターによって日本に派遣されたデレゲーションによって、3回目の「ロシア語週間」が開催されました。日本ロシア文学会国際交流委員会では、来日メンバーのうちお二人に来ていただき、特別講演と詩の朗読の会を開催いたしました(東京大学文学部スラヴ文学研究室と共催)。ロシア語研究・教育に関わる専門家、大学院生などを中心に20名ほどの聴衆が集まり、熱のこもった講演と朗読を聞くことができ、今後の研究・教育活動の展開のために力強く励まされたように思います。以下に、聴講者の一人、大学院生の竹内まり子さんに書いていただいた感想を掲載いたします。




「ロシア語週間2005」聴講記

竹内まり子(東京大学大学院修士課程)


 コロトコワ先生は、日本人に対するロシア語の教授法について、様々な実例を交えて、非常に興味深い講演をしてくださった。やはり最も難しいのは、ロシア語によるコミュニケーション能力を習得させることだそうだが、今回の講演では、コミュニケーション能力の習得のために実際に授業で行われる練習、課題を紹介してくださった。これらの課題では、生徒が興味を持って取り組むことのできるテーマが設定され、そのテーマについて生徒たちが考え、会話をする中で文法を習得し、コミュニケーションの力を伸ばすことができるように工夫されていた。生徒たちが、授業でどんな文法の勉強をするのかということではなく、何について論議するのかということに関心を持つことが、先生にとって最高の報いであるという言葉が印象に残った。


写真1 コロトコワ・モスクワ大学助教授
写真1 コロトコワ・モスクワ大学助教授


 続くパラモノフ先生の詩の朗読では、時に厳かに、時にやさしく、時に情熱的に語られる力強く美しいロシア語の世界にすっかり魅了されてしまった。しかも今回の朗読は、私たち聴衆が詩集の出版者になったつもりで、先生が朗読される詩の中から、実際に出版された詩集(20世紀のロシア詩人達の詩集)に入っている詩を当てるという趣向のものであったため、我々聴衆は一層注意深く詩の朗読に耳を傾けることになった。朗読者の情熱と聴衆の集中力が一つになった、素敵な朗読であったと思う。


写真2 パラモーノフ氏
写真2 パラモーノフ氏


 今回の講演を聴いて、コミュニケーションの手段としての言葉であれ、芸術的な詩であれ、言葉を磨く上で大切なことは、自分自身が感じたこと、考えたことを「伝えたい」、あるいは他者の言葉を「聴きたい」という気持ちに他ならないのだということに改めて気付かされた。このような気持ちをどう育み活かしていくかということが、個々人の学習、研究を、そしてロシア語教育を含め、その他多くの外国語教育をより楽しく、魅力的なものにするための一つの鍵になるのではないかと思う。 今回の講演は先生方の熱意とユーモアにあふれた楽しく有意義な講演であった。このような貴重な機会を与えてくださった代表団の方々、関係者の方々に感謝申し上げる。



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